基本的考え方
金融の自由化・国際化の進展、金融技術の発展等により、金融機関を取り巻くリスクは、一段と複雑・多様化し、経営におけるリスク管理の重要性が飛躍的に高まっております。このような金融環境のもと、当金庫はリスク管理の基本として、牽制機能を発揮した管理運営を通じたリスクの認識と把握を行うことが、リスクと収益・経営体力のバランスを考慮した適正な業務の遂行を可能にするものと考えております。
リスク管理の区分
①信用リスク管理
信用リスクとは、信用供与先の財務状況の悪化等により、企業や個人への貸出が回収不能、または利息が取立て不能になり、資産(オフ・バランス資産を含む)の価値が減少あるいは消滅し損失を被るリスクのことです。当金庫では貸出資産の健全性を維持するために貸出審査・管理部門を強化した厳格な審査態勢の構築や、内部研修の実施、外部研修への受講生派遣、本部から営業店への指導等により貸出審査能力の向上を図っております。また、有価証券等による資金運用においては、発行体の信用リスク等による元本リスクの存在を認識し、保有期間、信頼水準、業種別相関、デフォルト率等のデータにより、リスク量を算出し管理しております。
②市場リスク管理
市場リスクとは、金利・為替・株式等の様々な市場のリスクファクターの変動により、資産・負債(オフ・バランス資産を含む)の価値(現在価値)が変動し、損失を被るリスクおよび資産・負債から生み出される収益(期間収益)が変動し損失を被るリスクのことです。資産(貸出、有価証券など)・負債(預金など)双方の金利変動に伴う「金利リスク」、株式や債券などの価格変動がもたらす「株価変動リスク」、さらに「為替リスク」からなる市場リスクに対応するため、当金庫では信金中金、証券会社等との情報交換を密にし、機動的に対応できる体制をとっております。また、フロント・オフィス(運用)、ミドル・オフィス(管理)、バック・オフィス(事務)の職責分離により、市場リスクの管理態勢の確立に向け、リスク管理委員会、ALM委員会における情報共有を図りながら取り組んでおります。
なお、主な市場リスクは以下の3つのリスクから構成されます。
金利リスク
金利変動に伴い損失を被るリスクで、資産と負債の金利又は期間のミスマッチが存在している中で、金利が変動することにより利益が低下ないし損失を被るリスク。
為替リスク
外貨建資産・負債についてネット・ベースで資産超又は負債超ポジションが造成されていた場合に、為替の価格が当初予定されていた価格と相違することによって損失が発生するリスク。
価格変動リスク
有価証券等の価格の変動に伴って資産価格が減少するリスク。
③流動性リスク管理
流動性リスクについては、支払準備資産を信金中金に預け入れるとともに、信金中金が流動性への対応を図るといった、業界としてのバックアップ体制が整っています。今後とも、より健全な資産・負債のバランス、収益体質の維持・管理体制の充実に努めてまいります。
④オペレーショナル・リスク管理
オペレーショナル・リスクとは、以下のリスクとして捉えております。当金庫では、総合的な管理態勢の整備・確立を行い、業務の健全性・適切性を確保することを目的として、オペレーショナル・リスクの顕在化の未然防止および極小化に努めてまいります。
事務リスク
事務リスクとは、役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を引き起こすことによるリスクのことです。当金庫では、本部業務部が営業店に対し定期的に臨店指導を実施する一方、店内検査の月例実施を義務付けているほか、日常の事務ミス防止のための内部規定を整備し、事故の未然防止のために万全の体制をとっております。
システムリスク
システムリスクとは、コンピューターシステムのダウン又は誤作動・不備等やコンピュータシステム等が不正に使用されることにより生じるリスクで、当金庫ではマニュアル及び要領等を作成し対策を講じております。
法務リスク
法務リスクとは、金庫経営、金庫取引等に係る法令・庫内規定等に違反し、顧客に対する過失による義務違反及び不適切なビジネス・マーケット慣行から生じるリスクをいいます。当金庫では、コンプライアンス委員会にて、新業務・新商品・新サービス等の開発時等においてリーガルチェックを実施するなど、リスクの把握と適正な管理を行なっております。
人的リスク
人的リスクとは、人事運営上の不公平・不公正(報酬・手当・解雇等の問題)・差別的行為(セクシャルハラスメント等)から生じるリスクをいいます。その対策として当金庫では、定期的に職員に対しコンプライアンス・チェック等を行っております。
有形資産リスク
有形資産リスクとは、自然災害等その他の事象から生じる有形資産の毀損・損害等のリスクをいい、有事の際には、その対策としてマニュアル及び要領等を作成し対策を講じております。
風評リスク
風評リスクとは、当金庫の評判の悪化や風説の流布等による信用不安等のリスクをいいます。その抑止策として、健全性確保と収益性向上を伴った経営力の強化とともに、適切な情報開示により経営の透明性を確保しております。